RIOS実海域船舶性能研究イニシアティブ

当システムについて

RIOSシステム全体の構成や処理の流れは「システムフロー図」をご覧ください。
RIOSサーバー上では以下に示す計算処理システムを実行できます。
実行結果は利用者の計算機(PC)へオンラインで取り込むことができます。
「参考文献一覧」には各計算処理システム作成の参考文献を掲載しています。

実海域性能モデル構築システム船体応答モデル構築

実海域での船舶の性能評価のベースとなる規則波中の船体周波数応答値、短期波浪海面での短期予測値を計算し、さらに短期予測結果より長期予測計算、発生確率計算ができます。
周波数応答での横揺れ減衰計算には、藤井・高橋の方法と池田・片山の方法が適用できます。

周波数応答関数計算 以下の項目の無次元振幅応答値、入射波との位相差を出力します。
  • 船体6自由度運動(HEAVE,PITCH,SURGE,ROLL,SWAY,YAW)
  • 波浪定常力(抵抗増加、定常横力、定常回頭モーメント)
  • 相対水位
  • 変動水圧(断面内のガース方向分布)
  • 加速度
  • グローバル荷重(軸力、縦せん断力、横せん断力、ねじりモーメント、縦曲げモーメント、横曲げモーメント)
短期予測計算 SR208方式により所定の波高、波周期での短期予測値の風浪成分(ITTCスペクトラム)、うねり成分(JONSWAPスペクトラム)を出力します。船体6自由度運動については、動揺周期を計算することもできます。
長期予測計算 福田法により航海中の船舶の応答値がある値を超える累積確率を算出します。また、船速低下を考慮した長期予測計算もできます。
発生確率計算 不規則波中における船首海水打ち込み、スラミング、プロペラーレーシング等の発生確率や船首上下加速度が限界値を超える確率を算出します。あわせて、船体応答の発生確率と船体応答の限界値を与えて、その確率を超える限界の有義波高を求めることもできます。
プロペラ負荷変動計算 プロペラ流入速度変動、回転数一定条件下でのスラスト・トルク変動を計算することができます。
  • 1) Kashiwagi,M. :「Added Resistance, Wave-Induced Steady Sway Force and Yaw Moment on an Advancing Ship」,Ship Technology Res., Vol.39, No.1, 1992年
  • 2) 柏木正、大楠丹:「波浪による定常流体力に関する研究」,日本造船学会論文集第173号,1993年
  • 3) Kashiwagi,M:「Prediction of Surge and its Effect on Added Resistance by means of The Enhanced Unified Theory」,The West-Japan Society of Naval Architects No89,1995年
  • 4) 日本造船学会:「4.線形理論計算法による推定システム」,実海域における船舶性能に関するシンポジウム, 日本造船学会, 平成15年
  • 5) 柏木正、杉本健、上田武志、山崎啓市、東濱清、木村校優、山下力蔵、伊東章雄、溝上宗二:「波浪中推進性能解析システムの開発」,関西造船協会論文集第241号,2004年
  • 6) 横揺れ減衰力:池田良穂,日本造船学会 運動性能研究委員会・第1回シンポジウム,1984年12月、pp.241-250.
  • 7) SR208速力試運転解析法及び同解説:日本造船研究協会,1995年
  • 8) 福田淳一:「Ⅲ.船体応答の統計的予測」,耐航性に関するシンポジウム,日本造船学会,1969年
  • 9) 北沢考宗、黒井昌明、高木又男:「コンテナ船の波浪中での限界速度」,造船学会論文集,第138号,1975
  • 10)Ochi,M.K.:Prediction of Occureneceaand Severity of Ships Slamming at Sea,5th Symposium on Naval Hydrodynamics by ONR,USA and Norwegian Ship Model Experiment Tank,BERGEN,1964
  • 11)田崎亮:船舶の波浪中における甲板上への海水打ち込みについて,運研報告,第11巻,第8号,昭和36年8月

実海域性能モデル構築システム船速低下推定

ある主機条件下にて実海域を航行した場合の船速低下量を推定できます。
主機条件として、主機馬力一定、回転数一定、主機トルク一定、および任意主機特性を用いる、という4 条件にて計算できます。
船速低下量だけでなく、馬力、回転数、トルク増加量や燃料消費率を入力することで単位時間あたりの燃料消費量も計算できます。

実海域性能モデル構築システム波浪衝撃荷重計算

防衛大学木原教授の方法1)を用いて、物体が波面に衝突した際の流体力(上下方向)、圧力、波面/物体形状等を計算できます。

  • 1) 木原一:衝撃圧計算プログラムWISMOについて、第5回RIOS運営委員会資料、2010年4月

実海域性能モデル構築システム船体汚損経年影響推定

宮本の方法1)を用いて、船舶を長期に運用した場合に生じる船体・プロペラ・主機関等の汚損・経年変化による影響を考慮した推進性能の推定を行います。

  • 1) 宮本雅史:実海域中推進性能の推定と評価-汚損・経年影響の推定法-、日本船舶海洋工学会論文集 第4号、平成18年12月

実海域性能モデル構築システム船体風圧力係数推定

ISHERWOOD1)山野・斉藤2)、藤原3)4)の方法を用いて、船体に作用する風圧力係数を推定できます。

  • 1) Iaherwood,R.M.:「Wind Resistance of Merchant Ships」,The Royal Institution of Naval Architects, 1972年
  • 2) 山野惟夫、斉藤泰夫:「船体に働く風圧力の一推定法」,関西造船協会論文集第228号,1997年Vol.28, No.1 1984年
  • 3) 藤原敏文、上野道雄、二村正:「船体に働く風圧力の推定」,日本造船学会論文集第813号,1998年
  • 4) 藤原敏文、上野道雄、池田良穂:「成分分離型モデルを利用した新しい風圧力推定法」,日本船舶海洋工学会論文集第2号,2005年

実海域性能モデル構築システム船体斜航角/舵角推定

船が定常直進中(回頭角速度がゼロ)に風・波浪に遭遇した場合の斜航角(β)と舵角(δ)を、運動方程式として貴島の方法1)2)を用いて推定できます。

  • 1) K. Kijima et al.: On the Manoeuvring Performance of a Ship with the Parameter of Loading Condition , the Society of Naval Architects of Japan, Vol.168 (1990), pp.141-148
  • 2) K. Kijima et al.: On the a Prediction Method of Ship Manoeuvring Characteristics,Proc. of MARSIM'93(1993), vol.1, pp.285-294

実海域性能モデル構築システム馬力増加推定

実験データを活用して正面不規則波中の馬力増加を推定できます。

  • 平水中の抵抗・自航試験結果やPOT以外に以下の実験データを使用します。
    • - 規則波中抵抗・自航の実験値(トルク、スラスト、回転数の増加)
    • - 規則波中抵抗増加の実験値
    • - 過負荷自航試験値(トルク、回転数)
  • 5種類の馬力増加推定方法(DPM、QNM、TNM、RTIM、OLTM)が選択可能です。
  • RTIMでは、以下の計算が可能です。
    • - 風圧抵抗、当て舵抵抗、横流れ抵抗を含んだ馬力増加推定が可能
    • - 波浪抵抗は、抵抗増加の実験データだけでなく理論推定値も使用可能
  • 正面向かい波中を航行中に風が斜めから吹いてきた時に当て舵と横流れの影響を考慮できます。
  • 1)内藤林、三宅成司郎:「概説:波浪中の馬力増加」,日本船舶海洋工学会論文集第2号,平成18年5月

実海域船舶性能シミュレータ

船が航海中に遭遇する海象と船体応答を、短期統計量(1時間毎の平均や分散等)の時系列で求めることができます。
海象は、数値的に追算された膨大な時系列データから確率統計的特性を同定され、その特性が満たされるように、新たに航海毎に計算されます。海象のうち、風と波は日本気象協会の地球全球モデルによる追算データを、海流はNOAAの追算データを利用しています。船速や主機運動は、短期海象中で船体応答は定常であるという仮定の下に、その時に船体に働く各種の定常力の平衡方程式を解いて求められます。
定常力はデータベースから補間計算により得られます。危険海象中の操船判断が設定されることで、危険な船体動揺を避けるような運航が実現できます。